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恩師の命日 (1/2)

今回は、お世話になった恩師をテーマとさせていただきます。

間もなく、命日を迎える恩師です。この機に触れさせていただきます。

 

恩師は、前職での直属の上司にあたる方です。振り返ると実際に仕事をご一緒できたのは、4 年程度しかありませんが、強い印象で忘れることができない方です。

当時私は30代半ば、上司は60 歳手前でしたので25歳近くの年齢差がありました。

その頃の私は、この年代の男性サラリーマンが好きではなく、営業職としていくらか自信を持っていたことから上司と成果で勝負することは、やるまでもない。と思っている生意気な部下でした。

 

入社時、所属する営業部の使命は、薬局の新規出店を推し進めること。個々の経験や人脈、営業努力で出店を加速させることでした。私はこの上司にほとんど興味はなく、好きなように自分の思うまま出店先を探して外回りをしていました。

入社2 ヶ月後に薬局の出店に好意的な医師とご縁がありましたが、出店場所の確保が課題となりました。出店場所を確保するために関係する愛知県や法務局などへの相談や書類集めを行っていましたが思うように進みません。土地の取得に行き詰まった私は、初めてその上司に相談しました。上司は、ご自身の経験や人脈を通じて、その土地の取得への対応を進めてくれました。

 

半年後、そこには、新しい薬局が開店を迎えることとなりました。振り返ると、その時に上司と初めて同行し、企業との交渉や土地取得に向けて取り組んだ一連の仕事の仕方が私には別世界に感じ、その後の私の営業人生に大きな影響を与えました。

これを境にその上司を競争相手と考えることは一切なくなり、上司の営業の仕方や仕事の進め方、事業の組み立て方を学ぼうという気持ちに変化していったことをよく覚えています。

 

入社した翌月に新規薬局1 店舗、2 年目は新規薬局4 店舗、福祉用具販売貸与・住宅改修事業の開設、3 年目に新規薬局1 店舗、訪問介護事業2 ヵ所、居宅支援事業所の開設、4 年目に新規薬局3 店舗、老人ホーム2 施設、直営喫茶店、テナント事業への参入、5 年目に新規薬局1 店舗を開設しこの上司との仕事は終わることになりました。

薬局を出店しながら、在宅介護事業への参入や施設介護事業開設と大変忙しく、問題も山積で苦しい時代でした。しかしながら、この間に経験したことは、私にとってはすべてが新鮮なものであり、まずはやってみる、そして迷うと道標を見付けることのできる環境下にあり、一生忘れることのできない充実した時間となりました。

 

4年間にこの上司が私に求めたことは、薬局の開設でも新規事業への取り組みでもなく、たった一つでした。

それは「俺に人を紹介してくれ」でした。